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ウォーキングを考える
欧米では、健康保持・増進を目的として歩くことと捉え「エクササイズ・ウォーキング」と呼んでいる。日本では、健康保持・増進を目的とした歩行運動を、日常生活でおこなう歩行(生活活動)と区別してウォーキングと呼んでいる。
- ① 身体活動
安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全ての動きをいう。 - ② 運動
身体活動のうち,体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実践するものをいう。 - ③ 生活活動
身体活動のうち,運動以外のものをいい,職業活動上のものも含む。
ウォーキングの長所は以下のとおりである。
- 誰でもできる。
- 道具がいらない
- 日常生活に取り入れやすい
- 安全である
一方で、動作が単調で飽きやすいという側面もあるが、工夫次第で変えられる
歩行運動の動作局面を知る
ウォーキングは、足が地面に設置した時から、同じ足の次の設置まで分解すると以下のように図解できる。これらを知っておくこともウォーキングを実践していくうえで役立つこともあるので参考にしていただきたい。
一歩の価値換算
国民がウォーキングをすることで健康になれば、医療費が抑制できるという発想から、厚生労働省の研究班(主任研究者:井形昭弘・名古屋学芸大学長)が、生活習慣病の予防を目的に、「一歩の価値」を試算している。
試算方法は以下の通り。
製薬会社の社員1000人に、事前に健康状態を調べた上で、1年間ウォーキングを実施してもらい、①歩数に応じて健康状態がどの程度改善したか ⓶個々の医療費がどう変わったか、の2項目をチェックし、調査データから生活習慣病にかかる人の割合と医療費の関係を調べ、1人が普段より1歩多く歩くことで医療費がいくら削減できるか試算を行った。その結果、このようになった。
ウォーキングの価値
1歩で0.00147円の医療費の削減となった。10,000歩あたり約14円、つまり、1週間あたり約98円の価値がある。
医療費削減効果の試算(被保険者10,000人の場合)
この成果を基に、週に7万歩のウォーキングを1年間実施すると、1人あたりの年間医療費削減効果 98(円)×52(週間)=5,096円となる。
*被保険者全体(10,000人)の年間医療費削減効果
5,096(円)×10,000(人)=5,096万円
*:(被保険者を含む)加入者全体(20,000人)の年間医療費削減効果(仮定:扶養率1.0)
5,096(円)×20,000(人)=1億192万円
さらに、アメリカのスタンフォード大学のパフェンバーガー博士の研究によると、週に運動で2,000キロカロリー以上の運動をしている人は、していない人に比べて寿命が長い。1週間に2000キロカロリーを消費するだけで、心臓発作の発生率が3分の1に減少し、そのデータを基に運動による寿命効果を年齢別に算出した。
- 40歳 1週間の運動で、1.95時間の寿命効果
- 50歳 1週間の運動で、2.25時間の寿命効果
- 60歳 1週間の運動で、2.61時間の寿命効果
- 70歳 1週間の運動で、2.47時間の寿命効果
このように、ウォーキングの価値は様々な研究データからもその効果が期待できることがわかる。このような研究データも参考に、今後のウォーキング活動に役立てほしい。